「小さな会社だから」と油断しない 

〜管理部門づくりと専門家活用のすすめ〜


「うちは小さいから」では済まない管理の話

「うちは小さな会社だし、管理部門なんてそんなに大げさに考えなくてもいいだろう」
——そんなふうに思っていませんか?

実際、多くの小規模企業では、総務も人事も経理も「なんとなく」回っている状態で、
「とりあえず何とかなっている」ように見えるかもしれません。

たとえば、

  • 社員の入社時に必要書類をきちんとそろえていない
  • 勤怠管理は自己申告に任せきり
  • 取引契約書は相手に言われたら作る
  • 取締役会も株主総会も「形式だけ」

こういった状態で特に問題が表面化しなければ、なんとなく経営は続いていきます。
しかし、「何か新しいこと」を始めたとき
その「ほころび」は一気に噴き出してくるものです。


労働者派遣事業を始めたら見えてきた「管理のほころび」

今回ご紹介するのは、社員・契約社員・派遣社員・業務委託スタッフを合わせて10名弱の企業。
社長は「経理がしっかりしていれば大丈夫だろう」と考え、管理部門をシンプルに回していました。

ところが、新たに「労働者派遣事業」に参入したことで、これまで見過ごしてきた管理部門のほころびが一気に表面化したのです。

特に深刻だったのは労務管理でした。

給与計算を進めるためには、勤怠管理、労働時間の管理、社会保険手続きなど、非常に細かい情報が必要です。
しかし、管理部長は「派遣事業の担当スタッフがやるものだ」と主張。
一方で派遣事業の担当スタッフは、「なんで私がそんなことまでやらないといけないのか。専門知識もないし、できるわけがない」と反発。

社長もまた、労務管理の大変さを十分に理解しておらず、板挟み状態に陥ってしまいました。

さらに、

  • 業務委託契約書は各担当者がバラバラに作成し、統一性・管理体制がない
  • 株主総会・取締役会も形だけで、中身が伴っていない

と、経営の土台部分でも課題が浮き彫りに。
このままでは、コンプライアンス違反やトラブル発生のリスクが高まる状況でした。


小規模企業でも押さえるべき管理部門の仕事とは?

この事例を通じて、改めて「小規模だから」と軽視できない管理部門の役割を整理しました。

以下に、小規模企業で必要な管理業務を一覧にまとめます。

区分業務内容
総務会社規程の整備/契約書管理・作成支援/株主総会・取締役会運営/社内文書管理/備品・設備管理/法令対応
人事募集・採用活動/労働契約書作成/人事制度設計/労務管理(勤怠・休暇・労働時間)/教育・研修/ハラスメント対応
経理・財務日常仕訳・記帳/売掛・買掛管理/月次・年次決算業務/資金繰り管理/支払・入金管理/税務申告支援
労務管理給与計算/社会保険・労働保険手続き/就業規則管理/安全衛生管理(労基署対応)
情報管理個人情報保護対応/社内IT環境整備・管理

小さな会社でも、これだけ多くの「会社を支えるための業務」が必要なのです。


すべて社内で対応は無理!だから外部専門家を活用する

問題は、これを少人数で対応するのは現実的に無理だということです。
しかも、間違った労務管理や、税務申告ミスなどは、直接会社のリスクに直結します。

そこで活用したいのが、外部の専門家です。

代表的な専門家と、月額の目安費用をまとめました。(小規模企業向け)

専門家主な業務月額目安(小規模企業の場合)
社会保険労務士(社労士)労務管理/給与計算/社会保険手続き3〜7万円
税理士記帳代行/税務申告/資金繰りアドバイス3〜8万円
弁護士契約書チェック/労務トラブル対応顧問契約3〜10万円(スポット契約も可)
司法書士登記関連(設立・役員変更)1件5〜10万円(スポット)
ITコンサルタントセキュリティ対策支援/IT環境整備案件ベースまたは月5〜15万円

専門家活用のメリット・デメリット

項目メリットデメリット
社労士労務リスクを一括で管理できる/給与計算ミス防止契約範囲外の対応には追加費用がかかる
税理士税務リスクの最小化/経営相談も可能簡単な記帳のみなら自社対応の方が安いことも
弁護士万一のトラブル時に強い顧問契約は割高になる場合も
ITコンサルセキュリティ事故防止/効率化支援社内に一定のITリテラシーが必要

特に、労務管理は社労士に任せるのが基本と考えた方がよいでしょう。
給与計算代行だけのアウトソーシングもありますが、トラブル防止や制度設計を含めるなら、社労士契約の方が安心です。


まとめ:小さな会社こそ「管理力」が未来をつくる

今回の事例のように、
「うちは小さいから」と管理業務を甘く見ることは、いずれ大きな問題に発展する可能性があります。

そして、問題が起きてから対応するのでは、手遅れになりかねません。

だからこそ、

  • 自社に必要な管理業務を洗い出し、整理すること
  • 社内対応と外部委託のバランスを見極めること
  • 必要に応じて外部専門家を早めに活用すること

これが経営の安定・成長に直結します。

まず最初にできることは、「今、自社の管理部門がどうなっているかを棚卸しする」ことです。
小さな会社だからこそ、早めに基盤を整えて、しっかり未来を築いていきましょう。

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