従業員が突然辞めると言ってきた~中小零細企業のリアルな実態

A社は広告代理業などを営む小さな会社。従業員はわずか3人。実質的には社長が営業活動を行い、Bさん(30代女性)とCさんがアシスタントをして回していた。もう1人の女性は経理・総務系の管理部門を一手に引き受けている。

Bさんは創業以来、この会社にいて業務のほとんどを彼女がこなしていた。そのBさんが突然に「辞める」と言ってきた。しかも「1か月後には辞めるので、後任を探してください」と。

社長は薄々感じ取っていた。業務の負荷があまりも重く、残業が続いていたのだ。加えて新たに入ったCさんとの関係がギスギスしていた。小さな企業では、社員同士、ウマが合えばいいのだが、そうではないとまったく機能しなくなる。

Cさんはまだまだ十分には業務をこなせない。とにかく新たな人材が必要だ。しかし募集をかけたところで1か月で採用などできるだろうか…。

社長は募集広告や求人サイトへの登録も考えたが、とてもそんな費用は出せない。採用できなければ、広告費はドブに捨てるようなものだ。ハローワークをはじめ公的機関のサービスも検討したが、それ自体、自分でやらなければならない状況だった。「そもそも1か月で後任を見つけるなんて…」

社長はBさんに慰留するよう説得をし、せめて後任が見つかるまではと依頼したが、既に時遅し。「もう無理です」ときっぱりと言われてしまった。

日頃から人材のケア、計画を立てておかないからそういうことになるのだと思う方は多いだろう。しかし小規模事業者の実情はこんなものなのだ。

さて、社長はどうしたか。

独りで悩んでいても仕方がないと、日頃から付き合いのあるほとんどの取引先に相談をしたのである。その中に1社から「ちょうど仕事を探している女性が知り合いにいますよ」という話があり、社長は飛びついた。実際に会ってみたところ、人柄もよく非常に有能な女性だった。

運がよいと言えばそれまでだ。だがこの社長の強みは、こんなふうに話ができて、実際に人を紹介してくれる取引先がある人間関係だったということだろう。

もちろん、新たな体制で、業務の見直しや人員計画を改めてしっかりやらねばと痛感したようで、社長は私のところに相談に来た次第だ。

不十分なことはたくさんある。しかし話を伺っていると致し方ないとも感じた。それほどに小さな企業は大変なのである。コンサルタントは抜本的な改革をと言いたくなるが、今の状態から一歩ずつ、進めていくしかない。何よりも社長の気持ちに寄り添うことからはじめることだ。

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